『こども六法』~いじめ被害者がSOSを出しやすくするためには 実体法の問題じゃなくて手続きの問題だろw
ニッポン放送「すくすく育て 子どもの未来健康プロジェクト」(12月22日放送)に、教育研究者の山崎聡一郎が出演。『こども六法』の原型を作ったきっかけについて語った。
山崎:自分が立ち上げた囲碁部に、仲のよかった後輩が入って来たのです。そこで少し揉め事があり、彼が部活に来なくなってしまいました。秩序が壊れたため部員全員で、その後輩も含めて話し合いをすることになりました。その話し合いは僕が主導したのですが、最終的にその後輩を退部させるという結論になってしまったのです。それは「大人数でひとりを追い詰めるいじめと同じだろう」と、指導されました。僕はいじめの辛さも知っていたので、加害者にはならないと思っていました。いじめの被害者になったこともそうですが、加害者になったことが大変ショックでした。
淵澤:自分では、いじめている気持ちはなかったのですものね。
山崎:むしろ、自分が部長をやっていた部の秩序を乱されたという意味では、自分は被害者だとも感じていました。
淵澤:同じ現象でも、受け手によって違いますものね。その後、山崎さんは慶應大学の総合政策学部に進まれて、「法教育を通じたいじめ問題解決」をテーマに、研究活動をスタートされました。
山崎:中学時代の経験から、加害者が自分のしていることをいじめだと気づいて、その行為をやめるということは、かなり難しいのではないかと思いました。それならば「法の知識」を被害者に与えて、被害者が「助けてくれ」と言えるようにすれば、助かる被害者は増えるのではないかと考えました。中学の部活のときも、結局は被害者が先生に相談したことで、いじめが発覚したわけですから、被害者がSOSをわかりやすく出せる仕組みをどのように作って行こうかと選んだ研究テーマでした。
淵澤:研究奨励金を受けて、『こども六法』の原型を作られたそうですね?
山崎:誰でも読める六法というものは、ありそうでなかったのです。シンプルな発想ですが、それを作る必要があるのではないかということを研究のなかで感じ、作ったのがはじまりでした。
引用元:
小学校中学校でのいじめに法律が介入できないのは、
実体法を知らないからではなく、実体法の実現につなげる社会資源がないから。
そもそも個別に弁護士に委任してイジメの加害者とその保護者
学校に責任追及できるような資力と社会資源とつながることができる親の子であれば
社会的強者のDNAを受け継いでおりイジメられることは少ない
大人の世界も子どもの世界もいじめに遭うのは弱者なのである。
そして、学校のように司法から切り離された部分社会では、
実体法が暴力や脅迫を禁じていても、
通常の刑事司法の手続きに乗せることができない
だから、実体法は無力なのである
学校では、教諭や管理職、教育委員会や加害者が一体となって
社会的な圧力をかけてイジメ自体を無かったことにする
イジメの有無を認定する手続きがそもそも
イジメがあると評価が下がる人たち、イジメがないとしないといけない人たちによって恣意的に行われていることが問題なのだ。
証拠を効果的に収集できる知能があり、
法曹にアクセス可能で弁護士費用を捻出できる家庭の子息であれば問題ない
しかし、そもそもそのような強者の子息はイジメられる側にはめったにまわらない
そのような過程の子息は社会内で有利に立つための振舞いに長け
イジメる側に回ったとしてもイジメられる側に回ることはめったにない
子どもに、子ども六法を渡して
いじめが犯罪だと叫ばせても誰も助けてくれない
誰も助けないところが問題なのだ
その助ける「誰か」が社会資源として存在しないことが問題なのだ
社会資源として
地域の弁護士会で子ども110番のような窓口を用意されているだろうか?
そのような社会資源は十分機能しているのだろうか?
たとえそのような窓口があったとしても1時間の相談で何が解決するのか
弁護士が小中学校でのいじめ問題に介入し、
証拠を集めて、提訴し訴訟を提起し十分な弁護活動をするなら、弁護士費用として
着手金報酬金その他実費で100万円は必要だろう
社会資源にアクセスするには金が必要なのであろう
子どものいじめに100万のかねをポンと出せる強者の子息は、
まずいじめのターゲットにならない
いじめのターゲットは弱者だ
イジメの有無は
イジメが存在することになると困ることになる人たちによって認定される
そして、そもそもイジメはないことになる
イジメ(暴行・脅迫)がないのだから
子ども六法に書いてある暴行罪脅迫罪は成立しない
そもそも事実がないのだから。
その歪んだ事実認定を打ち破るには、
社会資源が必要、ただし、それは十分に機能させるには金が必要
弱者には金がない
よって、弱者は「いじめがなかった」という事実認定が、イジメがあったら困る人たちによってされるため、救済されることがない。
これは、イジメの被害者が自殺してはじめてイジメが問題になることが明らかだ。
自殺があれば、さすがにイジメがあったら困る人たちだけで事実認定をおこなうことはできなくなる。
第三者委員会や、もっと上(この人たちはイジメがあっても評価が下がるわけではないからイジメがあったということを公平に認定できる)から調査が入るから、内輪でイジメがなかったことにはできなくなるのだ。
実体法がどうなっているかなど誰でも分かる問題で社会の病巣はそこにはない。
実体法を適切に運用できないようにする、手続き面での運用がそもそもの問題なのだ。
イジメの認定を利害関係なく判断できる第三者に常に委ねることで解決可能だろう。
ただ、イジメがあると困ることになる当事者たちは絶対にそのようなシステムが作られることに同意はしないだろう。現場レベルで抵抗するので実現は不可能だ。
限りある研究費で間抜けな「子ども六法」などを作って、
それでイジメに遭う小中学生を救済できると考えているとすれば、
イジメに対する観察が足りないのではないか。
イジメは実体法の知不知などという単純な問題で解決するものでは決してない。